介護で退職した場合でも失業保険は受給できる?
家族の介護を理由に退職しても、基本手当(失業保険)の対象になります。一定の条件を満たし、適切な書類を揃えて手続きを行えば特定理由離職者として扱われることもあり、その場合は働けない期間があっても不利になりにくい制度となっています。
ただし、離職理由が「介護のために働き続けられなかった」ことを証明する書類が必要です。
受給に必要な主な条件
1. 被保険者期間が一定以上あること
原則として、退職前の一定期間、雇用保険に加入していたことが求められます。介護で退職した場合、「特定理由離職者」に該当すると、期間要件が緩和される場合があります。
2. 働く意思と能力があること
失業保険は「再び働く意思と能力」がある人を対象とした制度です。介護の都合で時間が限られる場合でも、将来的に働く予定があれば申請できます。
3. 介護が必要で退職が避けられなかったことを示す書類
以下のような客観的な資料があると離職理由の説明がスムーズです。
- 医師の診断書・意見書
- 介護保険の認定通知書
- ケアマネジャーが作成したケアプラン
- 同居・扶養関係を示す住民票や戸籍
- 退職届や会社とのやり取りの記録
手続きはどう進む?申請の流れ
1. 退職後に離職票を受け取る
会社から届く離職票は、失業保険の申請に欠かせない書類です。届いたら早めにハローワークへ持参しましょう。
2. ハローワークで求職申込みを行う
離職票を提出し、求職の申込みを行います。この際、介護が理由で退職したことを窓口で説明します。
3. 離職理由の確認と認定
持参した書類をもとに、離職理由が「介護でやむを得なかった」と認められるか判断されます。認定されると給付制限がかからないこともあり、受給開始までの期間が短くなります。
4. 7日間の待期期間
求職申込み後、7日間の待期期間があります。この期間中は給付は行われません。
給付日数と金額の概要
給付日数は年齢や雇用保険加入期間によって異なります。離職理由が介護によるもので「特定理由離職者」に該当した場合でも、給付日数の算定は基本的に通常の基準に沿って行われます。
よくあるケース別の判断ポイント
同居の親を介護するために退職したケース
同居の親が要介護状態である場合、診断書やケアプランなどの資料を揃えておくと離職理由の説明がしやすくなります。多くのケースで特定理由離職者として扱われます。
別居の親の介護のために実家へ戻るケース
別居の場合は「そのまま働き続けることが難しかった理由」を示す資料が必要になることがあります。通院の付き添いの記録や交通の負担を示す資料が役立ちます。
申請前に確認しておきたいチェックリスト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要書類 | 診断書・認定証・ケアプランは揃っているか |
| 離職票 | 会社から正しく受け取れているか |
| 介護状況の説明 | 退職に至る理由を整理できているか |
| ハローワーク相談 | 認定のポイントを確認したか |
退職後の生活を支えるために活用できる制度
失業保険以外にも、介護と生活を支える公的サービスがあります。
- 介護休業給付金(条件により利用可)
- 市区町村の生活支援サービス
- デイサービス・ショートステイなどの介護保険サービス
実務的な準備の順番
- 医師に診断書の作成を依頼する
- ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう
- 家族関係の書類を揃える
- 退職理由のメモを作成する
- ハローワークに事前相談へ行く
申請でつまずきやすいポイント
- 診断書の内容が抽象的:必要な介助内容を具体的に記載してもらう
- 書類不足:ケアプラン・認定証は必ずコピーを準備
- 働く意思を説明できない:将来的な就労予定を整理しておく
- 手続きが遅れる:離職票が届き次第、早めに行動する
ハローワークへの提出文例
退職理由メモ(提出用)
「家族の介護が日常的に必要となり、勤務を続けることが難しくなったため退職しました。診断書・ケアプラン等を添付します。」
不認定の場合の対応
不認定となった場合は、理由を確認し、追加の資料提出や再相談が可能かハローワークに問い合わせましょう。必要に応じて医師の意見書やケアマネジャーの報告書を追加することで認められることもあります。
退職前に確認したい実務的ポイント
退職前に上司や人事と介護の状況を共有し、記録を残しておくと申請で役立ちます。
よくある質問
まとめ
介護を理由に退職したときの失業保険は、必要書類と説明の準備ができていれば受給のハードルは高くありません。離職票が届いたら早めにハローワークへ相談し、必要な手続きを進めましょう。


